過去掲載分【2016年】

2016/12/27 年末年始の営業

平成28年12月29日から平成29年1月4日までお休みをさせて頂きます。
 

2016/11/18 H28さが労働法研究会

以下のとおり、平成28年度さが労働法研究会(第6回)を開催しました。
【テーマ】
①ハラスメントに関する事実認定のあり方と企業の調査義務
②有期雇用契約における無期転換
【日時】平成28年11月17日(木)参加者9名
【場所】佐賀県弁護士会館
【コメント】
テーマ①は、「組織内部における調査のあり方」に問題提起を投じるものでした。
事実認定作業の負担は大きいにもかかわらず、その結果に対して当事者が納得感を得ることが容易でないことなどの理由から、社内ではなく、社外の第三者機関に委ねること(ADRの利用)が有意義であるといった指摘もありました。
テーマ②は、全国におよそ1400万人いるといわれる有期労働者に関し、平成30年から、労働者の申し込みにより無期労働契約に転換できるルールが適用されます。その対応は喫緊の課題であり、実務的な対応が議論されました。
H28年度の研究会はこれで終了です。
機会があれば、引き続き検討を深めていきたいですね。(福島直也)

 

2016/11/7 佐賀県弁護士会倒産法検討委員会研修

当事務所の福島直也弁護士が委員長を務める倒産法検討委員会が下記日程で研修を実施しました。

【テーマ】
第1部 サービサーを利用した債権回収の実情
第2部 動産の買取及び廃棄物処理の実情
【日時等】
日時:平成28年10月28日17時30分から20時
場所:佐賀県弁護士会館
【コメント】
当日は第2部でコーディネータを担当しました。
企画、準備に時間を使いましたが、興味深い素材を提供できたものと思います。
実際の事案は千差万別です。
きちんと現場に足を運び、リスク回避を心がけて、善管注意義務違反になることのないよう注意しましょう。
(福島直也)

 

2016/10/26 コーリング佐賀連続講座のご案内

当事務所の福島和代弁護士が副代表を務めるコーリング佐賀の連続講座が開催されます。
予約不要です。ぜひご参加ください!

新聞紙面などを揺るがす事件の背景には、ジェンダーのしばりやDVの問題が潜んでいることが多いことはご存知でしょうか? 偏った価値観を見直し、性の役割を超え、お互いを尊重できる社会になることが、どこか不安が潜む世の中に、新しい風を吹き込んでくれるかもしれません。

自分に課してきた縛りを見つめ直すことで、よりよく生きられる道を一緒に探してみませんか?

被害を受けた人が力を取りもどし、再び社会へと戻ってこられると、それは大きな社会の資源となります。共に生き、共に歩む中で、よりよい社会をつくっていきましょう。

講座内容は以下の通りになっております。あなたの一歩、お待ちしております!

【講座プログラム】 

☆講座後に勉強会も予定しています。ふるってご参加ください☆

 

月日

時間

テーマ

講師

第一回

10月29日(土)

13:00~15:00

依存症について

精神科医

山田幸子氏

第二回

12月 3日(土)

13:00~15:00

自分の身体を知ろう

臨床心理士

第三回

 1月28日(土)

13:00~15:00

未定

交渉中

☆受講料   一講座500円(一講座のみの受講も可能です)

☆会場    佐賀県弁護士会館 二階大会議室 (佐賀市中の小路7番19号)

☆定員    30名(関心のある方なら、どなたでも参加できます。ご予約は不要ですので、当日、直接会場にお越しください) <!--[if !vml]-->

Co-ring(コーリング)佐賀

【お問合せ先】

TEL: 090-7299-5378
MAIL: co-ring@awa.bbiq.jp

 

2016/10/25 さが相続後見研究会(第5回目)

下記のとおり相続後見研究会を開催しました。
【日 時】平成28年10月18日(火)18時~20時
【場 所】佐賀県弁護士会館(参加者12名)
【テーマ】①医療法人と相続 ②相続財産管理人の事例報告
【コメント】①は「持分なし医療法人への以降」も重要事項でしたが、その際に他の法人との比較で、社員たる地位がどのような内実を有するのか、株主と同様に自益権及び共益権を有するものであるか、といった本質的部分の確認がなされたところです。
②は、実際の事例を用いて、不動産の入札売却、休眠担保権抹消の手続、相続財産の登記上の表示等の紹介があり、実務で必ず役に立つ内容でした。
参加者の皆様お疲れ様でした(福島直也)。

 

2016/10/24 今週の電話無料相談

今週の電話無料相談の担当は、福島直也弁護士です。
10月27日(木)18時~19時です。
電話番号は、0952-40-4005です。

 

2016/9/20 H28さが労働法研究会(4回目)

当事務所が主催する平成28年度さが労働法研究会を以下のとおり開催しました。
参加者は7名でした。
【日時】平成28年9月20日
【場所】佐賀県弁護士会館
【テーマ】①過労死等の状況及びメンタルヘルス②障害者雇用促進法の改正
【コメント】
①は、精神疾患に関する労災補償が増加する傾向などをふまえて導入されたメンタルヘルス制度に関し、実際の導入事例の報告などもあり、極めて実践的なものでした。ストレスの程度によってはそのことを労働者が知られたくないと強く希望することが想定されますが、メンタルヘルス防止という制度趣旨との調和点をどこに見出すかについては議論がありました。
②は、障害者の雇用の促進等に関する法律改正の報告でした。使用者側としては、合理的配慮の提供義務が課せられたことから、これまで以上にきちんと検討しておく必要があります(福島直也)。

 

2016/7/11 消費生活専門相談員資格認定試験講座

当事務所の福島直也弁護士が、本年度から国家資格となった消費生活相談員資格の試験講座の講師を務めました。
日時)平成28年7月2日、7月2日(土)、3日(日)
場所)唐津市役所相知支所相知交流文化センター(7月2日)、佐賀商工ビル(7月3日)

 

2016/6/28 さが労働法研究会(第3回)

当事務所が主催するさが労働法研究会が以下のとおり開催されました。
【場所】佐賀県弁護士会館
【日時】平成28年6月8日(水)
【テーマ】①労働弁護士として②不動産業界と歩合制
【コメント】②は不動産業界でよくみられる歩合給に焦点を当てた極めて実践的なものでした。
社会保険にまで言及されており、この分野の相談を受ける際にはぜひレジュメを見返したいという素晴らしい報告でした。
N先生有難うございました。

 

2016/6/28 女性の権利110番

当事務所の福島和代弁護士が、6月25日(土)に佐賀県弁護士会館で受付をした女性の権利110番に参加しました。

 

2016/6/22 相続問題に関するQ&Aを追加しました

相続問題についてHPにQ&Aを追加しました。
http://www.hayate-law.jp/main/615.html
当事務所は相続後見研究会を主催して実務的知見を深めています。
相続に関するご相談は当事務所にご連絡ください。

 

2016/6/5 さが相続後見研究会(第3回)

以下のとおりさが相続後見研究会を開催しました。
【日 時】平成28年6月2日(木)
【場 所】佐賀県弁護士会館
【テーマ】
公認会計士税理士の講師による、①遺産分割協議の注意点 ②相続により取得した空家売却の際の所得控除関係
【コメント】
換価分割としての不動産売却では、基本的に相続人全員が申告をすることになりますが、
実務上は配慮されないことが多いので注意をする必要がありそうです。

 

2016/5/4  先物取引被害全国研究会in金沢

以下のとおり先物取引被害全国研究会(4月15日、16日)が開催されました。
当事務所の福島直也弁護士が参加しました。

大会プログラム

項目 内容 講師及び発表者
ブラッシュアップセミナー 「先物取引被害の救済の取り組みについて」 大本祟弁護士(岡山)
講演 「裁判実務から見た投資被害関係訴訟の課題」 加藤新太郎教授
発表 犯罪ツール提供者に対する責任追及
~ 埼玉研究会の取組み ~
内田敦弁護士(埼玉)
神野直弘弁護士(埼玉)
上原伸幸弁護士(埼玉)
井上光昭弁護士(埼玉)
「商品先物取引(投資取引)被害と消滅時効」 大植伸弁護士(広島)
報告 消費者庁移転問題について 石戸谷豊弁護士(神奈川)
関弁連「連鎖販売取引に関する法規制強化を求める意見書」について 広山相徳弁護士(千葉)
全国一斉投資取引被害110番について 庄野信弁護士(東京)
先物取引関連不祥事について 近江直人弁護士(秋田)
第一商品不当訴訟報告 大迫恵美子弁護士(東京)
先物取引関連不祥事 近江直人弁護士(秋田)
MRI弁護団について 山口貴士弁護士(東京)
民事執行法改正の動きについて 大迫惠美子弁護士(東京)
判決・和解報告 井上光昭弁護士(埼玉)
講演 「共同不法行為・競合的不法行為に関する検討」 大塚直教授
報告 判決・和解報告 山内隆弁護士(東京)
向来俊彦弁護士(大阪)
見次友浩弁護士(東京)
浅井淳子弁護士(東京)
五反章裕弁護士(東京)

 

2016/5/4 くれちほ第28回シンポジウムin佐賀

クレジット被害対策・地方消費者行政充実会議(略称:クレちほ)が以下とおり開催されました。

当事務所の福島和代弁護士が事務局として参加しました。

日  時 2016(平成28)年4月23日(土)11:00~17:00

場  所 佐賀県弁護士会館 〒840-0833 佐賀県佐賀市中の小路7−19

電話:0952-24-3411 http://www.sagaben.or.jp/contact/

概  要 【特別講義】11:00~12:00 弁護士 澤田仁史(千葉県弁護士会)

「クレジット決済等を利用した消費者被害の救済と課題」

【シンポジウム】13:00~17:00

1(学習&運動編)消費者被害の救済・防止~割販法・特商法改正~

2(学習編)多重債務・生活再編問題

3(運動編)地方消費者行政 次のステップは地域連携!

主  催  クレジット被害対策・地方消費者行政充実会議

共  催  行政の生活債権対策の充実を求める全国会議 

      セーフティネット貸付実現全国会議

佐賀県弁護士会

後  援  佐賀県 佐賀市

 

2016/5/3 さが相続後見研究会

下記のとおりさが相続後見研究会(第2回)を開催しました。
【日 時】平成28年4月8日
【場 所】佐賀県司法書士会館
【テーマ】事例報告検討会
①死亡時の相続人への引継ぎのケース
②除籍等が滅失等している場合の相続登記
③相談事例に民事信託を利用した場合の課題
④最近の保佐人の事例から
【コメント】
①から③が司法書士の先生、④が私でした。
④以外はどれも視点が鋭く、なるほどと思わされるものばかりでした。
理論的に詰めていく作業も地道に積み重ねる必要がありますね。(福島直也)

 

2016/4/18 佐賀消費者フォーラム適格消費者団体認定記念報告会

当事務所の福島和代弁護士が副理事長を務める佐賀消費者フォーラムが下記のとおり報告会を開きました。
【日時】平成28年4月18日
【場所】佐賀商工ビル
報告会では、同フォーラムと佐賀県が消費生活同断の情報交換を密にする覚書を締結。
福島和代弁護士が、中古車の買取査定額を不当に引き下げた業者に契約書の条項の改定を申し入れたことや、年金を担保にして現金を貸し付ける偽装質屋の違法行為を指摘するなどこれまでの活動を報告しました。

 

2016/4/8 認知症の家族の損害賠償責任

雑誌「ざっしにあ」に表記の記事が掲載されます。
以下、その全文を掲載します。
この事案は、地裁、高裁、最高裁の結論がすべて異なるものです。
一般の雑誌ですと簡潔に書かざるを得ないため、伝えたいことを書くことが困難です。
判決を入手して読んでみることをお勧めします。

 

Q 認知症の男性(91歳、精神障がいあり)が1人で外出して列車にはねられ死亡した場合に、その家族(妻、子)に鉄道会社に対する損害賠償責任が認められるか否かにつき、最高裁判所がこれを否定する判決を出したと聞きました。日本では500万人を超える認知症の方が生活されており、今後はこのような事故が増えると思います。この判決の内容を簡潔に教えてください。

 

A 同居の妻(85歳、要介護1)、別居の長男の損害賠償責任がいずれも否定されました。

 
<解説>

(1)この事案では、1審の名古屋地方裁判所が「妻及び長男」の損害賠償責任を「認めた」ことから介護業界を中心に大きな反響を呼びました。2審も「妻」の損害賠償責任を認めました。詳細な事案については、ぜひ、最高裁判所のHP(平成28年3月1日第三小法廷判決)をご確認ください。同居の妻、その隣宅を借りて父の介護を行っていた長男、その妻の苦労が伝わってくる内容です。いつもの連載よりわかりにくい内容ですが、影響が大きいためこの連載でも取り上げました。

(2)民法は、精神障がいの方が第三者に損害を与えた場合に、「監督義務者」が責任を負うと定めています。
同居の妻が「監督義務者」に該当するか否かが重要な争点でした。

たしかに、民法は、夫婦の協力及び扶助義務を定めており、このことを根拠に「監督義務者」に該当させるとの考え方もあり得ます(2審の見解)。
しかしながら、本判決は、そのような形式的な根拠から直ちに「監督義務者」に該当させるべきではないとしました。


(3)もっとも例外的に「監督義務者に準ずる者」といえれば損害賠償責任を認めています。
その際には、
①監督者自身の生活状況、心身状況、
②精神障がい者との親族関係の有無・濃淡、同居の有無その他の日常的な接触の程度、
③精神障がい者の財産管理への関与の状況など監督者と精神障がい者との関わりの実情、
④精神障がい者の心身の状況や日常生活における問題行動の有無・内容、
⑤これらに対応して行われている監護や介護の実態
など諸般の事情を総合考慮するものとしました。

この事案では、同居の妻は、当時85歳で、左右下肢に麻ひ拘縮という障がいがあり、夫の介護は長男の妻の補助を受けていたという事情がありました。
つまり、上記①の事情が重視されて責任が否定されたものといえます。

(4)本件とは異なり同居の妻が健康であれば損害賠償責任は認められたのでしょうか。監督者の状況などによっては損害賠償責任が認められる余地があります。今後の事例の集積が注目されます。(福島直也)

 

2016/4/7  医療事故情報センターニュースへの掲載

名古屋市所在の「医療事故情報センター」(全国各地の患者側弁護士らで構成される団体)の弁護士リレーエッセイに、福島和代弁護士の記事が掲載されました。
以下、その原稿全文を掲載します。

弁護士リレーエッセイ

福島和代(佐賀県弁護士会)

美容医療過誤事件について

1 はじめに

私は55期で佐賀県弁護士会所属です。佐賀に登録して間もない頃、たまたま受けた医療過誤事件について相談させていただいたのをきっかけに、九州山口医療問題研究会に登録させてもらいました。医療過誤事件で分らないことがあると医療研の先生方にいつも質問させて頂いております。医療研の弁護士のみなさまには、いつも有益かつ的確なアドバイスをいただき、ありがとうございます。

2 美容医療トラブルの相談

私は、医療研佐賀支部所属ということで、傷病等をきっかけにした医療過誤事件も受けますが、その他にも、消費生活センター等で、美容医療トラブルの相談を受けることがあります。美容医療に関する被害は、医療過誤というより消費者被害に近い側面があり、やってみてびっくりするようなことが沢山ありました。私が過去に受任した脂肪吸引の医療過誤事件についてご報告させて頂きます。


3 被害のきっかけ、勧誘

本件の被害者は、友人と一緒に女性雑誌の広告を見て、この美容外科に電話をしたのが事件のきっかけでした。広告では、脂肪吸引手術の施術前の太った写真、施術後のマネキンのように痩せた写真が並べられていたそうです。被害者は来院して医師から無料カウンセリングを受けたものの、それは、太腿を指して「この辺が痩せられる」等の説明で、脂肪吸引手術の危険性についての説明はなく、手術から3日でデスクワークには戻れると言われたそうです。

医師のカウンセリングの後にはカウンセラーと称する女性スタッフ(看護師、臨床心理士等の資格職ではない、受付の人)から、さらに勧誘を受け続け、腕のよい医師、最新の設備、アフターフォローは万全との説明を受けて、被害者は脂肪吸引手術を受ける契約をしました。代金は90万円以上しましたが、美容外科にはクレジット契約書も用意してあり、その場でクレジットの申込も出来ました。

 

4 脂肪吸引手術とその後

被害者は、午前10時から午後5時くらいまで、約7時間かかって脂肪吸引手術を受け(複数の患者の手術を同時に行っていたようです。)、終わった後には手術と硬膜外麻酔の影響で痛みと吐き気がありました。しかし、その美容外科は外来診療のみで入院設備がなく、診療時間が終わると病院にも居られず、被害者は、友人の運転で、途中で嘔吐しながら帰宅しました。

 

脂肪吸引手術後は、両脚全体に浮腫が起こり、1ヶ月位は靴もまともに履けませんでした。浮腫のために膝は3ヶ月くらい曲がらなかったそうです。

本件の被害者は、脂肪吸引手術の後に起こる浮腫以外に、吸引手術後の処置がまずく、固定していたテープが皮膚に直接貼られていて、そこがラテックスアレルギーを起し、さらに炎症して感染症を起し、化膿して、皮膚が剥がれてしまいました。

 

被害者が電話で相談しても、その美容外科は、被害者に来院を指示せず、診察もせずに、抗生物質と軟膏を郵送しました。医師の検診は手術の1週間後でした。検診までの間は、自分で施術箇所を消毒するのですが、患者が自分で感染症の管理をするのは難しいと思います。1週間後の検診で、普通の医療機関に転院するように勧めてくれればよかったのですが、医師は、抜糸して、抗生物質と軟膏を処方して、3週間後の来院を指示しました。次の受診までの間も、自分で消毒しなければなりません。しかし、傷口はどんどん広がり、深くなり、潰瘍になって、膿がとめどなく出て、褥創のようになり、被害者は微熱が続きました。

 

被害者は電話で相談しましたが、来院の指示も、転院の指示もありませんでした。3週間後の受診で、被害者はMRSAに感染していることが分りましたが、次の受診はさらに1ヶ月後で、その間、自分で消毒して、薬を塗り続けました。

脂肪吸引手術から2ヵ月後、被害者の左右の太腿の大きさが異なっていること、潰瘍がひどくなり、褥創みたいになっていることを訴えました。結局、時間の経過とともに傷口が大きな痕になってしまったので、目立たないようにする治療を受けましたが、あまり効果はありませんでした。アフターフォローは万全という説明でしたが、美容医療で実際に事故が起きてしまうと、なす術がないのだと思います。

 

5 受任、協力医師への相談

私は被害者から相談を受け、本件を受任し、協力してくださる医師に相談に行きました。2名の医師に、それぞれ別の機会に相談に行きましたが、どちらの医師も普通の内科医師で、被害自体にあきれられてしまいました。こんなの医療じゃないと半ばお怒りで、「この診療経過のどの辺が問題でしょうか?」という私のとんちんかんな質問に対して、「そもそも脂肪吸引なんてすることがおかしい、脂肪って、ゆらゆら浮いているものじゃないんだよ、筋肉と皮膚の間に脂肪があって、がっちり組織が繋がっているのに、脂肪吸引なんかしたら、中の組織は、皮膚と筋肉の間が離れちゃって、ぐちゃぐちゃになってしまうんだよ!」と、脂肪吸引がいかに危険か力説されてしまいました。また、「これで90万も取るの!」と、私が事案を説明すればするほど憤りが高まられ、普通の内科医師からすると、脂肪吸引をする医者も、受ける患者も、どっちも理解できないという感じでした。私としては感染症になったことについて何か意見をもらえればと思ったのですが、医師から意見書をもらうような事案ではないと判断し、訴訟提起をしました。

 

6 訴訟、美容外科の倒産

美容外科を被告として訴訟を提起しましたが、訴訟継続中に、美容外科を経営していた医療法人が倒産してしまいました。このまま逃がしてはならんと思い、担当医師を被告に追加して訴訟を継続し、担当医師から慰謝料を支払ってもらうことで和解しました。

 

7 事件を終えて

被害の程度からすると、本件の慰謝料は低かったように思います。しかし、美容医療の場合、後遺障害の等級でいうと低めに出てしまうため、なかなか損害額の認定が高額になりません。

 

私が事件を担当して思うのは、美容医療過誤の被害は作られている面があるということです。非常に危険でも、その説明を十分に行わずに、脂肪吸引等の美容医療の広告、勧誘が行われているケースを見ます。普通の医師の常識的な立場から、きちんと危険性の説明を受ければ、脂肪吸引などの美容整形手術を受ける人はかなり少ないのではないでしょうか?

また、実際に被害に遭っても、後ろめたさ、恥ずかしさで外部に相談できず、被害を受けた美容外科の医師に頼ってしまい、他の医療機関に繋がらないケースも多いと感じます。まして弁護士に相談されない方も多いでしょうし、相談を受けても受任にまで至らない方は多いです。本件では、被害に遭ってもその美容外科に通い続け、弁護士に相談した時には、被害から相当の時間が経過していました。なんとか解決まで辿り着きましたが、被害者が被害を受けた美容外科に通い続け、囲い込まれてそのまま泣き寝入りのパターンは相当あるのではないかと思います。正確な情報を発信して被害を減らす取組が必要だと感じました。

 

2016/4/4 今週の電話無料相談

今週の電話無料相談の担当は、福島和代弁護士です。
4月7日(木)18時~19時です。
電話番号は、0952-40-4005です。

 

2016/4/1 さが労働法研究会(第2回)

以下のとおり開催しました。
10名の参加でした。
【日 時】平成28年3月28日(月)
【場 所】佐賀県弁護士会館
【テーマ】①労働審判②競業避止義務
①については、手続選択の問題があり、例えば、以下の手続きを選択することの長所短所等が議論されました。
(ア)紛争調整委員会によるあっせん(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律に基づくもの)
(イ)通常訴訟
(ウ)ADR(社会保険労務士会)
②については、よくある紛争形態です。
当事務所が最近取得した判決でも、競業避止義務条項の限定解釈に際して、自由競争を尊重する観点から、その範囲を非常に限定したものがありました。
雇用関係の流動化もあり、労働者の転職の自由は強化される傾向にあるようです。
(福島直也)

 

2016/2/26 コーリング講演のお知らせ

当事務所の福島和代弁護士が副代表を務めるCo-rin(コーリング、女性と子どもの被害者支援グループ)の連続講座をお知らせします。

依然として上昇を続けるDVの被害件数。内閣府が今年発表した配偶者暴力支援センターの相談件数は、平成26年度には10万件を超え、警察庁が把握する配偶者からの暴力の認知件数も6万件に届く数となりました。

しかし、その被害者への支援には、まだまだ手が足りていません。被害者が置いていかれたまま、形式だけの支援が行われているという声もあがっています。

被害を受けた人が力を取りもどし、再び社会へと戻ってこられると、それは大きな社会の資源となります。共に生き、共に歩む中で、よりよい社会をつくっていきませんか? 

講座内容は以下の通りになっております。あなたの一歩、お待ちしております!

【講座プログラム】

☆ ふるってご参加ください ☆

 

月日

時間

テーマ

講師

第一回

12月19日(土)

10:00~12:00

私の心と身体を知る

臨床心理士

中島薫氏

第二回

1月30日(土)

13:00~15:00

DV事案における司法の取組

弁護士

松浦恭子氏

第三回

 2月27日(土)

10:00~12:00

デートDVと性被害

産婦人科医

野口光代氏

☆受講料   一講座500円(一講座のみの受講も可能です)

☆会場    佐賀県弁護士会館 二階大会議室 (佐賀市中の小路7番19号)

☆定員    30名(関心のある方なら、どなたでも参加できます。ご予約は不要ですので、当日、直接会場にお越しください

Co-ring(コーリング)佐賀   

お問合せ先:080-3993-0580

◎電話相談 毎週土曜日19:00~21:00(上記の番号です)

◎メール相談(随時)co-ring@awa.bbiq.jp

 

2016/2/22 当事務所が獲得した判決の紹介 【不正競争】【写真の著作権】

当事務所が獲得した判決(一部)について以下のとおりお知らせします。
被告側として、原告の請求のすべてを棄却する全部勝訴判決を得ました(主担当福島直也)。
争点は多岐にわたりますがその一部分のみを抜粋して紹介します。

1 甲事件【不正競争】

⑴ 事案の概要

原告が、被告らに対し、被告らは原告との間で退職後の秘密保持及び原告従業員に対する退職勧誘禁止を合意する誓約書(本件誓約書)を取り交したにもかかわらず、これに違反して原告の秘密の使用や原告従業員に対する退職勧誘をしたため、これにより原告は顧客との取引を失ったり、人件費が増額したりするなどの損害を被ったと主張して、主位的に民法415条に基づき、予備的に不正競争防止法4条に基づき損害賠償の支払いを求めた事案

⑵ 裁判所の判断

裁判所は、在職中に取得した情報を退職後に使用することなどを禁止する条項(秘密保持条項)について、同規定は、禁止される対象範囲に特段の限定を設けておらず、禁止期間も3年間という長期である一方、何らの代償措置が取られた事情もないことから、被告らの職業選択の自由を不当に害するものとして合理性を欠くものであり、公序良俗に反し無効であると判断した。

⑶ 本判決の意義

退職後の秘密保持条項について、公序良俗に反し無効と判断した事例

2 乙事件【商品写真の著作権】

⑴ 事案の概要

原告が、被告会社に対し、同社は、原告が例年受注していたある商品の製作販売業者の商品カタログの制作を数年間にわたり毎年受注した際、原告制作の商品カタログに使用された商品写真(木件各写真)や原告が制作した商品カタログについての原告の著作権を侵害し、これにより原告が損害を被ったなどと主張して、本件各写真を使用した商品カタログの制作の差止めや、損害の賠償の支払いを求めた事案

⑵ 裁判所の判断

本事案において、裁判所は、本件各写真はいずれも、カタログ発注者が構図などを指示しており、商品の性状が忠実に再現されるよう撮影されたものであるから、本件各原写真の撮影者又は加工者の表現の独自性が表れておらず、創作性を肯定できないため、著作権法2条1項1号所定の著作物に当たらず、または原告にその著作権が帰属しないと判断した。

⑶ 本判決の意義

   写真、特にカタログ等に用いられる商品写真の著作物性を否定した事例

 

2016/2/22 H28さが相続後見研究会(第1回目)

以下のとおり開催しました。
今年度は12名の参加です。
【日 時】平成28年2月17日18時から20時
【場 所】佐賀県弁護士会館
【テーマ】後見人の死後事務
指定していなかったのですが、偶然、司法書士、弁護士の担当者が同じテーマでした。
それだけ切実な問題ということですね。
ご本人が亡くなってからの具体的手続を極めて実践的に確認できました(福島直也)。

 

2016/2/21 H28さが労働法研究会(第1回目)

この研究会も4年目となりました。
社労士の参加者も増え合計12名が参加予定です。
第1回目は以下のとおりでした。
【日 時】平成28年2月9日(火)18時から20時
【場 所】佐賀県弁護士会館
【テーマ】
①女性の出産・育児に関わる法律と社会保障制度
②労災の基礎知識から過労死裁判を概観する

①につき、産前産後の労働者に関して、特に各種社会保険制度の申請に注意する必要があります。
例えば、定められた期間内の双方申請により、会社本人共に社会保険料が免除される仕組みもあります。
そのため、予めきちんと検討する必要があります。
②は、過労死に関する厚生労働省の平成13年基準が、その後の裁判例にどのような影響を与えているかを分析するものでした。
同基準が労働時間を明示したことで、労働時間をめぐる熾烈な立証活動を引き起こしたことが見て取れたかと思います。
お勧めの参考文献をあげておきます(福島直也)。
「増補改訂版 労災裁判1988-2014」(編著者:外井浩志/発行所:労働調査会)