相続一般

Q1 相続に関する法律問題の特徴を教えてください。

 私は、弁護士として日常的に紛争問題を取り扱っており、その対象は多岐にわたりますが、当事者間で激しく感情が対立するのは「遺産の相続」問題だと考えています。新人弁護士の頃、ある遺産分割調停の当事者の方から、30分以上にわたり、電話で怒鳴り続けられたことが昨日のことのように思い出されます(笑)。そのエネルギーがどこから来るのかその当時はさっぱりわかりませんでしたが、今となっては、その方の気持ちが少しはわかるような気がしています。

 遺産の相続は誰にでも起こることですが、その分配についてきちんと取り決めをしておかないと、些細なことで、感情的な対立に発展することが少なくありません。何十年前の出来事にまで遡って不満が爆発するようなケースも珍しくないです。
 そのため、法律的には結論が決まっているケースでも、話し合いがつかずに紛争が長期化することもあります。遺産分割調停が成立しても、その後の交流が途絶えてしまったという残念なこともあります。

 このように「遺産の相続」問題は、一度こじれてしまうと修復が難しいことも多く、そのような事態を予防することが本当に大切な分野だと考えています。

 

Q2 相続問題では何をしなければならないのですか。

  概ね以下の手続きを進めていきます。詳細はこの後触れていくので、ここでは読み流してください。
① 死亡届の提出(死亡の事実を知った日から7日以内)
② 遺言書の確認(公正証書遺言であれば公証人役場で検索できます)
 
③ 法定相続人(被相続人の配偶者や子など)の確認
④ 遺産の内容や総額の確認

⑤ プラス財産とマイナス財産(借金)の内容を検討して相続するかどうかを決定
  (原則として死亡の事実を知った日から3か月以内)

 被相続人の所得税の申告が必要な場合はその申告と納付
  (準確定申告、死亡の事実を知った日の翌日から4か月以内)

⑦ 遺産分割協議とこれに基づく遺産の名義移転手続
⑧ 相続税申告が必要な場合はその申告と納付(死亡の事実を知った日の翌日から10か月以内)

 いかがですか。
 ②で遺言書が確認できると手続がとてもスムーズに進みます。
 ところが、遺言書がないと、⑦で遺産分割協議(遺産を各相続人の財産にするための話し合い)を行い全員の合意を得る必要がありますし、合意できずに紛糾するケースが少なくありません。

 だからこそ「予め遺言書を作成しておくこと」がとても重要なのです。