遺言書

Q1 遺言書にはどのような種類がありますか。

 民法は7種の方式を定めていますが、ここでは、自筆証書遺言と公正証書遺言を知っていれば十分です。注意すべきことは、民法が定める方式を満たさないと遺言書としての効力が認められないということです。方式を厳格にすることで、遺言書の真意が正確に表現され、かつ、他人が後からこれを変造したりできないようにする必要があるからです。
 

Q2 自筆証書遺言の問題点を教えてください。

 筆証書遺言とは、遺言者が、遺言書の全文、日付、氏名を自書(手書き)し、これに押印することによって成立する遺言をいいます。
 「自書」とされているため、パソコンで作成した場合は無効です。法律的にみて不備な内容であれば、紛争の種を残したり、無効になる場合もあります。誤りを訂正した場合には、訂正箇所に押印をし、どこをどのように訂正したかということを付記してそこにも署名しなければならないなど方式が厳格です。自筆証書遺言を発見した者が、自分に不利なことが書いてあると思ったときには、破棄したり、隠匿や改ざんをしたりする危険もあります。以上の問題点があるため、私は、公正証書遺言を作成するようアドバイスしています。

 

Q3 公正証書遺言とはどのようなものですか。

 公正証書遺言は、法務大臣が任命する公証人(裁判官などを長年勤めた人から選ばれます)に遺言の内容を述べ公正証書を作成してもらうものです。

 

Q4 なぜ公正証書遺言がよいのですか。

 公正証書は、公証人が作成する公文書で、公証役場に保管されることから、次のメリットがあります。
①極めて強力な証拠力があり、裁判になっても立証の苦労が省けます。
②公正証書原本は公証役場に保存されるため、紛失、偽造等の心配がありません。
③法律の専門家である公証人が作成に関与することから、法律上の不備が防止されます。

 

Q5 公正証書遺言が無効になることはないのですか。

 公正証書遺言が無効という理由で裁判になることもあります。しかしながら、何と言っても公証人が作成する公文書ですから無効になることは極めて稀だと言えます。私の経験では、「他人に成りすまして遺言者として署名した」ということを理由に裁判を起こされたケースがありましたが、無事に勝訴し、判決で、遺言は有効と認められました。公正証書遺言作成の際には、遺言者の本人確認もきちんと行いますので、そのような「身代わり」など実際にはほとんど不可能です。