相続人が誰であるか明らかなケースが多いのですが、時折、予期せぬ相続人の存在が判明することがあります。最近も、被椙続人の前妻との聞に子がいたことを知り驚いて相談に来られた例がありました。
ですから、相続人を正確に把握するためには、被相続人の出生から死亡までの聞のすべての戸籍謄本などを取得する必要があります。詳細は省きますがこの作業に時間を要することもあります。
こうした調査をふまえたうえ、民法に従い、相続人になれる者の範囲を確定していきます。
上記の相続人の調査と並行して遺言書の確認を行 います。被相続人の遺言書があれば、被相続人の財産は、原則として、遺言書で指定を受けた人が、遺言書で指定 されたとおりに承継していきます。この遺言書が、既に ご説明した「公正証書遺言」であれば、公証人が作成後、正本及び謄本を遺言者に交付し、原本を公証人役場に保存しています。そのため、公正証書遺言の存在が明らかでない場合には、日本公証人連合会の検索システム を利用して、当該被相続人の遺言の有無、いずれの公証 人役場で作成されたか等の事項を知ることが可能です。 相続人が知らない聞に公正証書遺言が作成されている 場合がありますから、このような検索を行っておくこと をお勧めします(手続の詳細は各地の公証人役場で教 えてもらえます。)。
公正証書遺言以外の遺言(自筆証書遺言)については、家庭裁判所での「検認」という手続がありますが、ここでは省略します。
遺言書が存在する場合で注意しておかなければならないのは、「遺留分」(いりゅうぶん)という制度です。
例えば、Aさんが亡くなり、その妻 (B)と子(C)が相続した場合を考えてみましょう。遺言書に「Aの全財産をBに承継させる」旨の指定がされていた場合に、Cさんは被相続人Aさんの財産を一切取得できないのでしょうか。この場合、Cさんには「遺留分」が認められ、被相続人の財産の一定割合が留保されています。つまり、遺言書の存在にもかかわらず、遺留分により、Aさんの財産の一部を取得できる可能性があります。